野生の会計屋の雑記帳

野生の会計屋です。公認を受けるために研修に励む傍ら、田舎でIFRSと戯れています。

退職給付会計の簡便法:③年金財政に関する用語

はじめに

ここまでで退職給付会計と数理債務(年金財政計算)の関係を説明した。ここからは年金財政についてのトピックを解説していく。

 

財政再計算と財政検証

財政再計算

確定給付企業年金では、少なくとも5年ごとに掛金の額を再計算することが求められている(確定給付企業年金法第58条)。”少なくとも”だから、例えば加盟している企業が増えるなど、従業員数に著しい変化が生じた場合はそのタイミングで財政再計算を行う。

 

PBO数理計算をアクチュアリに依頼するに際して、前提確認というものが行われる。この時にいつの財政計算をベースにするか、という項目がある。上記の通り、何事もなければ再計算は5年に一回だから、昨年同様の回答でOKな場合が多い。

 

財政検証

一方の財政検証は、年に一度行う足元動向の把握である。このときの検証は2つの観点から行う。継続基準と非継続基準である。

 

継続基準

年金制度が今後とも継続するという前提に立った時、積み立てが適正に行われているかという計算である。通常の数理債務の計算に近しいが、将来の必要分の現価と将来掛金の現価、及び積み立て状況を鑑みて、状態を判断する。

 

非継続基準

現時点で基金を終了するとして、積み立てが足りているのかという観点で行う計算である。今時点の退職金と今の積立額で比較する。